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〔続 スイス悠々〕

(1)ベルエポック

ジュネーブ発ヴェネツィア行ECに乗車(左上)。レマン湖沿いの日の出(左下)。ワインヤードに心が和む車窓(中上)。

バレエで著名なローザンヌ駅界隈 (中下)。世界文化遺産のラヴォー地区を快走(右)

 本会報《随筆欄》に「スイス悠々」のシリーズタイトルで、2015年に初夏にスイストラベルパスを初めて活用した成果を1年間ご紹介しました。帰国後間もなくに「秋のスイスも体験したい」旨を話したら、同行した彼は即答的に「ボクも行きます!」と。結果、再びヒロさんとのコンビで、自由旅が実現しました。ウィーンに続き今回も、アナタも誘う観点でのご紹介、スイス悠々の〔秋色編〕です。
 

 スイストラベルパスを活かすためには、天気予報を見つつの催行決定が要になります。となれば、日々身軽に移動するために、基地を設けます。即ち、国内の移動、ハイキングやトレッキング程度の山歩きに利便性の高いホテルの確保が旅程を計画する上での第一段階で、7連泊するホテルの確保が、実は、最難関になります。ウィーンを含め、私事、ほぼ1年前にBooking.comでの予約・購入をします。
 ホテル選択の条件を、私は四つ決めています。①基幹駅からの利便性が良い(徒歩範囲で、迷わない)こと、②部屋で無料Wi-Fiが活用できること、③朝食付で内容が充実していること、④税込価格で安価であること(ホテルサイトによっては、朝食なし、税別価格が表示され、一見安く見える場合がありますが、)
Booking.com日本語サイトは◎です。スイスは物価が高く、ウィーン対比で、ホテル価格も高いです。

 次に、約11か月前に航空便の確保。価格が高くなりますがANA#は、鳥取8:45発、羽田から、例えばフランクフルト経由で、ジュネーブへ。復路はチューリヒから経由し、羽田から鳥取着18時前。ANA機は座席指定も購入時に可能です。鳥取・羽田間は、7列目が(国内線購入とは別枠で)6席、国際線購入客用に確保されており、(小生は7A席の)座席指定をします。シベリア飛行は、北極圏側の機の後方席がVIP席となります。機種を確認し、機窓のほぼ正面に主翼先端が位置する席の指定です。(#:本稿記載当時の検索結果。関空深夜帯発のエミレーツは約2/3の価格ですが、旅程時間が長くなります。)


 2017年秋は、9月30日(土)鳥取空港発、羽田空港からパリ行に乗り、ド・ゴール空港でエールフランスに乗り換えてジュネーブへ。羽田からパリのANAはBoeing 787-9 で座席指定した自席からの機窓風景を一点ご紹介します。
 毎回、若干の飛行コースが動きますし、地上の天候にもよりますが、この際は明らかにダム湖と分かる広大な湖(帰国後に調べて、アムール川流域のBureyskoye貯水池と判明)に出会いました。
 ジュネーブに前泊し、翌朝から8日間有効のスイストラベルパスを活用する計画で、当初、午前中は同旧市街を散策するはずでした。が、遠慮がちにヒロさんにある提案をしたら、あっさり変更決定!
 提案内容は、朝食後、街歩きをせずにEuroCity(EC)に乗り、モントルーから風光明媚な地帯をゆっくりと走るGoldenPass Line (https://traintravel.myswitzerland.com/gpl_en/) をベルエポック時代のノスタルジック車両が連結されている GoldenPass Classic に乗り、ゆっくりと移動する企画でした。

 2017年10月1日(日) ヴェネツィア行EC37は、ジュネーブ07:39始発。発車後間もなく、レマン湖の対岸、フランス側からの日の出シーンにも出会いました。未だ夏時間であり、日本なら7時前の日の出でした。

自己評価VIP席からの撮影

 未だ夏時間であり、日本なら7時前の日の出でした。バレエコンクールやオリンピック首都として著名なローザンヌに近づく頃にワイン畑を車窓から楽しむことが出来ます。やがて、ユネスコの世界文化遺産に指定されているラヴォー地区のワインヤードを車窓左右に眺めた後、崖が迫り、家並みが続く頃には減速し、モントルーに到着(08:36)です。この間、一貫して進行方向右手にはレマン湖と対岸のフランスの山並みも眺めつつの約1時間です。

始発駅に停車中の電気機関車もノスタルジック(左上)。二等車の車内(左下)。発車するとクネクネと緩速で登り、モントルーの街が眼下に(中)。窓が開かないので鉄橋通過時も撮り難い(右中)。車掌の彼女(右)

 ジャズフェスティバルで著名なモントルーの街歩きは未体験です。今回も、単なる乗換駅で、連邦鉄道の幹線ホームの山側に、MOB社のBELLE EPOQUE車両が停車していました。
 電気機関車もベルエポックの装いで、客車然り。客車には、是非、窓が開いて欲しい願いがありました。が、外装・内装のクラシカルな雰囲気とは異なり、今時の建造車両であって、残念ながら窓が開かなかったのです。
 よって、窓を開けて、顔と手を窓から出して、列車と周囲の環境をしっかりと撮ることが出来なかったのは残念でした。

左カーブの際に先頭が撮れたが、窓に車内の灯りが映っていた(左)。反対列車とのすれ違い時に駅ホームを歩く人(左中)。朝靄と陽光で緑の斜面と湖面が美しい(右中)。急峻な山はないが風光明媚な環境(右)

 窓が開かないと、逆光では撮り辛いし、順光でも車内の光が窓に映る・・・。困惑至極でしたが、それでもココゾ!と言う時には苦肉の撮影。谷に架かる石橋を走行する際、急なカーブの際には先頭車を含めての撮影など、自身の備忘録に留まるレベルで写真が残せました。
 このルートは初体験でしたが、朝霧・朝靄に包まれた山並み・谷合を通過し、陽光が強まる間にそれらが晴れていく様と、澄んだ空気感を覚える景観が刻々と変化する車窓は感動的でした。
 連邦鉄道(国鉄)は、(新幹線と同じ)標準軌で、私鉄MOB社の山岳地方を鈍足で走るモントルーMontreuxからツヴァイジンメンZweisimmen間は(JR在来線同様)狭軌ですが、路線管理が良く、かつ、電気機関車が客車を牽引する列車であり、乗り心地が優れています。因美線、山陰線のガタコド・ガタンガタンの揺れやノイズとの違いを改めて体感した次第です。この路線に限らず、ローカル線の各駅停車車両もデザイン、座り心地、走行の安定さ・静寂さとの違いが大きいことに驚きます。

谷が開け、のどかな放牧地が展開(左)。駅近くに家屋が並ぶ様も美しい。霧に覆われた背景の山(右)

 GoldenPass Lineは、私鉄各社が繋がって、西の基点モントルーとインターラーケンを介してルツェルンを結びます。モントルーを発って、急勾配を上った後、しばらくは山と谷が迫る区間を走りますが、やがてのどかな景観が開けます。例外的に、インターラーケンを発ちシャーロックホームズが滝つぼに落ちる終焉の地マイリンゲンのU字谷を通過する際にはスイス山岳地方特有の高山や深い谷を眺めますが、概して全区間を通じて、のどかな放牧地を目にすることが多いのがGoldenPass Lineです。

教会と滑走路が見える。間もなくツヴァイジンメンに到着(左)。観光列車に乗換えた後も谷合を走行(右)

 狭軌区間、BELLE EPOQUE車両で走る終着のツヴァイジンメンが見えてきました。まとまった集落と教会、滑走路が見えたことで、到着間近と分かります。眼下に線路が見え、大きく右にカーブした後、車道ならヘアピンカーブを反時計回りに走り、下って行きます。マイリンゲンのU字谷底から上がり、ルツェルンへと降りていく間は要所でラック式(歯軌条)線路が混在しますが、狭軌のベルエポック路線にはありません。レマン湖畔のモントルーからの登りや、ツヴァイジンメンへの下り区間は各々くねくねと緩速での走行です。
 ツヴァイジンメンで乗り換えた車両も、残念なことに、天井まで窓が高い(窓が開かない)観光列車(電車)でした。これも愛称がありLÖTSCHBERGERレッチュベルガーです。2015年には、別の主要路線で同観光急行に乗車し、車窓を堪能 (https://blogs.yahoo.co.jp/swiss2015/46514649.html) しました。今回はホテルに7連泊する地、シュピーツSpiez駅までの約40分間の乗車です。

山に残っていた霧が晴れ、秋色の景観に心が和みます(左)。目的地シュピーツに到着 (右)

 ツヴァイジンメンからシュピーツまでは、おおむね南から北への走行で。進行方向左側の車窓は、順光で、朝霧が晴れた後の澄んだ空気感と牧草地の緑、青空に挟まれた色彩感豊かな樹木に見惚れていました。秋ならではの色合いを堪能しつつ、やがてトゥーン湖畔の交通の要所シュピーツに到着です。
 GoldenPass Lineをモントルーからシュピーツまで走ると3時間近くを要します。
 が、スイス連邦鉄道で単純に検索すると、モントルーから南に降りて、ローヌ川沿いの谷合を走り、ツェルマットに向かう基幹駅ウィスプVispで乗換、34.6kmのレッチュベ
ルグ・ベーストンネルLötschberg-Basistunnel(2007年12月に利用開始となった、当時陸上トンネルでは世界一)を高速走行するルートがヒットし、1時間以上も短縮します。所要時間の点からもGoldenPass Lineはゆっくりした観光路線と分かります。

 

 

 なお、SBBで[Via:]にZweisinmmen か Saanenを入れると GoldenPass Line がヒットします。小生は覚えやすいので[Via:]には Saanen を入れます。
 今回のホテルはシュピーツ駅至近です。スーツケースを預けたら、即、駅に戻り、全線ラックレールのミニゲージ登山電車Schynige Platte-Bahn(SB)に乗り、シーニゲプラッテに上がりましょうよ!
 まずは、位置関係の概要をオツムに入力してっと・・・

※ 本稿は鳥取県東部医師会報 随筆欄に掲載・連載(レイアウトは異なります)

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