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〔続 スイス悠々 秋色編〕(7)ニーダーホルン~ライン滝 

ホテルから眺めるトゥーン湖対岸のニーダーホルン(→)と日の出(左上)。シュピーツの街を含めた撮影(左下)。列車でインターラーケン西駅に移動し、パス適用のポストバスに乗車:アーレ川(中上)を通過し、トゥーン湖(中下)やベルナーオーバーラント三山(右)などを眺めながら、ニーダーホルン中腹の終点ベアテンベルクへ

 〔続 スイス悠々〕秋色編の最終回です。ニーダーホルンとライン滝は離れており、ありきたりのコースとは異なるコラボです。初めて、鳥取発着のANAを購入したことで、往路は羽田からのシベリア飛行で、パリ経由でジュネーブに入りました。相棒は初体験のシベリア飛行であり、復路はチューリヒ発として、ANAが羽田発着で就航している都市、即ち、フランクフルト、ミュンヘン、パリ、ロンドンを選択することになります。若干高くなりますが、「ロンドンならドーバー海峡を飛行するし、東からヒースロー空港に着陸する際は、ロンドン中心部を眺めながらの着陸だ」と話したら、「良いですねぇ!」の即答で決定。定番ですが、機窓風景を研修するなら、西への飛行なので、機の後方シベリア側(非A席)を得ることが命題になります。ところが、チューリヒとロンドンの飛行は、ANA機ではなく、コードシェア便であり、ネットでの事前座席指定が出来ない・・・。離陸の24時間前にチェックイン開始となります。空港カウンターに赴いてチェックインし、座席を確保することにしました。
 目的達成後は、チューリヒ旧市街を初探訪しようと、復路前日夕方の行程が決定しました。翻って、チューリヒから北方約1時間の地に、水量が欧州最大、ライン川で唯一船が航行できないRheinfallライン滝があります。ベルナーオーバーラント地方を基地としている身からすれば、スイスの北東端辺境地と言えます。よって、チューリヒ空港に行く前に立ち寄ることにしました。なおも時間が余ります。
 今回、初めて7連泊したホテルは、風光明媚なトゥーン湖を見下ろすシュピーツ駅至近地にあるホテル。日々の朝食は、湖畔に立地するシュピーツの街やワインヤード、湖面、そして、対岸や、南方向はアイガーなど名山を眺めつつでした。対岸には標高1950mですが、360度の景観が楽しめる
Niederhorn ニーダーホルンがあります。見取り図を!

 10月初旬でしたが、天候が不順で、最終日の午前中に訪れる計画でしたが、予報は曇り・雨。快晴に恵まれた前日朝の探訪としました。
 以上でこの日の旅程が決定しました。とは言え、SBB (http://fahrplan.sbb.ch/bin/query.exe/en)でダイヤの確認は入念に!列車でインターラーケン西駅に移動し、バスに乗り換えます。狙いは、湖畔路線ではなく、中腹を走行するPostbus 101!
 ニーダーホルン山頂に登るゴンドラ駅があるBeatenbergベアテンベルクが終点となるポストバスは、アーレ川を越え、インターラーケン旧市街を抜けたら、どんどん上り、中腹を蛇行しつつ走行します。逆光ですが、ベルナーオーバーラント三山などを遠望し、一方、トゥーン湖を眺め降ろし、かつまた、対岸にある独立峰のニーゼンにも目を留めつつ、勿論、道路沿いの秋色の景色も楽しみつつの約30分。
 終点で降りたら、残念ながらゆっくりと展望する時間はなく、目の前にあるゴンドラ駅へ移動し、「Hallo! Niederhorn, return」を告げ、トラベルパスを提示して、山頂往復券を50%offでの購入。
 初体験の3連ゴンドラは、当然、湖面側の窓に接して立っての乗車で、景観を楽しみます。車窓左手(南側)にはアイガー、メンヒ、ユングフラウなど、馴染みの名山が分かりますが、正面(西側)にも朝の陽光を浴びて白く輝く綺麗な山脈が・・・。が、同定できないまま山頂駅に到着しました。

初体験3連のゴンドラに乗ってニーダーホルン山頂へ:トゥーン湖と対岸のニーゼン(左)。下る3連ゴンドラとトゥーン湖(中)。右端(北東側)にトゥーンの街を臨む山頂は360度の雄大な景観(右)

 私事、2005年6月2日に格安ツアーで、2日ほどスイスも訪れた際の最終日は、ユングフラウヨッホから降りて、インターラーケンで最後の買い物・トイレ時間の小休憩後、ツアーバスでチューリヒ空港に移動しました。その際、シュピーツ界隈を走行したのですが、トゥーン湖の対岸に大きくえぐられた山塊に驚き、新鮮な記憶を残していました。それがニーダーホルンだったのです。まさか、氷河でえぐられた山の中腹を路線バスで巡り、山頂に立つことになるとは・・・。
 澄んだ空気の快晴に恵まれたこともあり、景観を堪能しました。とは言え、次の行程があります。そそくさと、3連ゴンドラの先頭に乗り、トゥーン湖、対岸の景色などを眺めつつの下りです。

山頂から眺めるベルナーオーバーラントの山々(左上)。三山を望遠撮影(左下)[左・東からアイガーE・メンヒM・ユングフラウJ]。乗客で賑わう上り3連ゴンドラを撮影(中上)。ベアテンベルクでケーブルカーに乗り換えて湖畔へ:上る車両(中下)。軌道とトゥーン湖、対岸のニーゼン ~ 連泊したシュピーツはニーゼンの麓

 ベアテンブルクから湖畔のBeatenbuchtベアテンブヒトまではFunicularケーブルカーで下ります。この路線はトラベルパスの適用区間で、50%の追加料金は不要です。対岸には独立峰コニーデ型のニーゼン(標高2362mのNiesen Kulmニーゼン山頂)が気になる存在です。山頂まで麓駅からFunicularケーブルカーで登れることや、夏季は週末など曜日限定ですが、夜間営業もしており、至近のシュピーツ連泊の際に訪れて、夕景を堪能することも画策していますが、ハテ実現するでしょうか・・・。
 湖畔駅の至近にカフェ・レストランがあり、バス駅もあります。さらに、トゥーン湖クルーズ船の桟橋も。今回は、バリアフリーの低床バスに乗り換えて、トゥーン駅まで風光明媚な湖畔を快走します。
 トゥーン駅からは特急に乗り、ベルン経由でチューリヒ中央駅へ。ドイツ国境に位置するSchaffhausenシャフハウゼン行の地域急行(ダイヤによっては特急など)に乗り換えます。ところで、この界隈は、例外がありますが、ライン川がオーストリアとドイツの国境線になっています。走行路線を見ると、北へと走り、ライン川を越え、一部はドイツ国内を通過します。車窓を眺め続けていましたが、鉄橋通過時にライン川を撮り損ねました。各駅停車の場合は、オーストリアの端にある駅を発って間もなくの地であり、きっと速度が出ていないので、国境となっているライン川が撮れましょう。一方、ドイツ国内を北東へ走ると、陸続きで、再びスイス国内に入ります。この国境は全くとらえる余地がないのですが、間もなくにライン川が車窓右手に見えるタイミングでライン滝を眺めることになります。
 幸い、思わず「ライン滝だよ!」と、声が出ました。窓の開かない車窓撮影でしたが、及第点と自己評価し得る写真が撮れていました。ほぼポスター構図です。かつ、上流側に鉄橋が見えました。終着駅で、折り返して、再び車窓から、今度は上流側からライン滝を眺める(組写真
c→)計画です。

チューリヒ中央駅始発のRE [←a 進行方向]車窓から初体験のライン滝を視認し、撮れた。上流側の鉄橋[c→]は間もなく地域列車で走行(左)。乗り換えた地域列車の車内(右上)。ライン川沿いの景色[b→](右下)

 REををシャフハウゼンで降りて、反対方向に行く各駅停車車両に乗車しましたが、驚きの念を禁じ得ませんでした。車両はモダンで、車内もカラフル!再々の驚きは、因美線・山陰線車両との違いです。つい、記念写真を撮ってしまいました。発車すると、静かに加速します。乗り心地も良質です。勿論、JR在来線の狭軌と異なる標準軌であり、かつ、維持管理がきちんと図られているとの体感をします。車窓はライン川と近接し、樹木が豊かな秋色の住宅街(組写真b→)を眺めます。トンネルに入りました。抜けると即、反対側にライン滝を眺めるはずです。鉄橋からの撮影を抜かりなく、と心します。
 車窓(
c)からライン滝が撮れました。この際も、残念ながら、新型車両であり、窓が開かないため、画質が劣ります。致し方ありません。
 鉄橋を過ぎて、岩山のトンネル抜けると、下車するSchloss Laufen am Rheinfall(ライン滝に接したラウフェン城)駅に到着です。下車して、散策を楽しみましょう。ライン滝を訪れることを決めた際に、実は、どのように巡るかの思案をしましたが、鉄橋の両側に歩道が設置されており、幸いでした。

洒落た地域列車(近郊線電車)は窓が開かない!何とか上流側からライン滝を撮影(左)。岩山にある城を眺める駅(右下)から、散策路を河畔に降りて、豪壮なライン滝を撮影[★→川にある岩も観光名所](右)

 電車をを降りて、まずは、散策路を河畔に降ります。豪壮の表記が似つかわしい、欧州一の水量を誇るライン滝に圧倒されました。しばし沈黙、そして「凄いなぁ・・・」の感想。注意深く見ると、ライン川の中央辺りに大岩があり、スイスの国旗があります。かつ、滝の下流側に大岩に接した桟橋があり、ツアー客が小型船から降り、階段を上る様子を遠目に眺めると、しぶきをしっかり浴びて、ずぶ濡れになる!観光業者が丈の長いレインコートを提供しているのでしょうね。大岩の頂上に展望台が・・・。
 散策路を戻り、ラウフェン城を見上げながら、反時計回りに歩き、城の正面に出ました。ライン滝の上流側を木立の間からしばし眺めた後、賑わいを見せる界隈を発ちました。樹木の中、緩やかな下りの散策路を鉄橋の基点まで降り、線路下をくぐり、下流側の歩道に上がり、ライン滝の景観を堪能します。

ライン滝を反時計回りに散策:地域列車で通過した鉄橋[c]に設けられた歩道からの撮影(左)。岸辺の眼下に流れが穏やかな場所があり心が和らいだ(左下)。白煙のようなしぶきに覆われるライン滝の中央にある大岩の展望台にツアー客が (中) [★/ヒロさんが撮影]。ほぼ半周を散策し、北側からライン滝を撮影(右)

 鉄道橋に設けられた歩道は、ゆっくりと立ち止まりつつ、景観に見惚れながらのひと時でした。多様なアングル、望遠撮影などを楽しみつつ対岸(北東側)へ。川の流れが緩徐になる岸辺に穏やかな場所があり、透明度の高い水、淡い緑の色相に心が和みました。
 散策路には数か所の展望所があり、各々立ち寄り、異なる表情を見せるライン滝に魅せられました。
 時間を見計らって、ライン滝に近接する高台に、観光用に新設されたNeuhausen Rheinfallノイハウゼン・ラインファル駅に上がり、上流側のノイハウゼン駅へ一駅乗り、チューリヒ行の各駅停車(S-バーン)に乗り換えて、再び[c]を通過して、ライン滝を後にしました。チューリヒ空港駅で、願う座席を指定し、チューリヒ市内に出て、最終のボートに乗り、旧市街を散策し、飲食もして、全日行程を完遂!
 なお、ライン滝散策路には数か所に観光用の案内看板があり、重宝しました。ネットでは得られず、実は、界隈を散策する下準備の際に、内実、悪戦苦闘した経緯がありました。見取り図が秀逸な看板を撮影したのでご紹介しておきます。アナタが探訪される際の一助になれば幸いです。

 〔続 スイス悠々〕秋色編は、2017年10月に催行したほぼ日程順に執筆しました。今回7回目で終わります。次号からは、アナタに未だご紹介していない夏季の推奨コースなどを・・・。

※ 本稿は鳥取県東部医師会報 随筆欄に掲載・連載(レイアウトは異なります)

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