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Gotthard=Panorama
Map=GotthardTunnel
Map=Wassen

〔続 スイス悠々 秋色編〕( 補 1 )ゴッタルド~ルガーノ 

車窓撮影:ベルン駅至近のアーレ川・尖塔はベルン大聖堂(左)。ツーク湖畔(中)。応じてくれた彼ら(右)

 〔続 スイス悠々〕秋色編の補遺その1です。

 2017年10月2日(月)は、残念ながら、ほぼスイス全土が雨天予報で、唯一、東南部のルガーノに晴れ間が期待できる程度でした。初めての初秋のスイス体験は、悪天候ではないのですが、少なくとも晴れには恵ませないスタート・・・。

 7連泊の地が、交通の要所 Spiez シュピーツであったことと、定番でスイストラベルパスを活用する自由な旅だったので、“乗り鉄”的な全日としました。

 SBB スイス連邦鉄道でシュピーツ発とルガーノを検索すると、南回りの路線がヒットします。が、意図して、Erstfeldを経由地に設定(:Via)し、ゲッシェネンの今となれば旧線(:新線は、世界一の長さの新トンネル)を走る観光急行での移動としました。その名はGotthard Panorama Express ゴッタルド・パノラマエクスプレスで、勿論、初体験の乗車・路線です。

 思わぬ出会いがありました。まずは、チューリヒ駅で、自動小銃を持つ若い兵士たちで、女性の姿もありました。スイスは、勿論、徴兵制があるわけで、軍事・軍備の永世中立国です。

 車窓は途中で、雨粒も体験しましたが、チューリヒから乗車した後は、陽光は射しませんでしたが、穏やかな曇天で、緑・湖の色には恵まれました。

 兵士たちが下車する際に、彼らに申し出たら、笑顔で応じてくれて、稀有な記念写真が残せました。

 Lugano ルガーノへ行く列車の前半は、Spiez 08:25→InterCity→Zürich HB→InterRegio→Erstfeld エルストフェルトです。エルストフェルトは、世界一・全長57kmのGotthard-Basistunnel ゴッタルドベーストンネルの起点となる駅です。都市間特急は同トンネルを高速通過しますが、旧線には観光客のために観光急行が走るのです。愛好家にとっては嬉しい限りです。

 なお、このトンネルが開通するまでは、青函トンネルが世界一でした。青函トンネルは一つの空間に南北に行き来する2本の線があり、高速では車両間に影響が出るため、時速140kmの制限があり、新幹線の速度も上がらなかったのですが、今になって時速210kmをめざした高速化の実験が行われていると知った。(出典はコチラこれに対して単線2本が並列的に掘られているため、風圧の影響が最小限であり時速250kmでの高速設計である。

 

Gotthard Panorama Express 車窓点描 : ヴァッセン界隈の車窓は必見(右)

 ゴッタルド・パノラマ急行に乗車するのも勿論初めて、そもそもこの谷の走行も初体験でした。渓谷の高度を上げるためにループトンネルなどを通過して行きます。鉄道路線を確認することも鉄道ファンならではのことで、せっかくですから、調べた地図を末尾に添付しました。

 車窓のハイライトは Wassen ヴァッセン界隈です。単にループトンネルで高度を上げるのではなく、谷合に南下し、円形のトンネル内で反転し、北上し、谷を通過します。さらに、北側、つまり、緯度的には引き返した地点で円形のトンネルに入り、再び南下し、ヴァッセンの街を見下ろしながら列車が走ります。南北方向には短い距離ですが、高低差約200mを上がるのを視覚的に確認できます。ヴァッセン界隈の個性的・稀有な路線も地図で確認し、末尾に添付しました。

ヴァッセンを過ぎて、約200m下に通過してきた線路も認め(左)、ゲッシェネンに到着:“悪魔の橋”を眺める路線の石橋も眺め、撮れた(左中)。アイロロ駅(右中)。ベリンツォーナ駅の跨線橋で撮影(右)

 大きな鳥が宙を舞うがごとくに、ヴァッセンの街を3回眺めるごとくに走った後、高度を上げて、谷合を見下ろしつつの走行をし、Göschenen ゲシェネンに到着します。観光急行 RegioExpress が、始発のエルストフェルト(標高 475m)を発って、最初に停車するのがゲシェネン(同 1111m)で、所要25分で、636m上ったことになります。
 ゲシェネンには、個人的な愛着を覚える駅です。初回は2015年で、ポストバスで3つの絶景峠を巡る計画でしたが、“神がかり的に”前夜に確認した際に、アンデルマットからゲシェネンまで一駅の路線で、車窓から“悪魔の橋”を眺め得る鉄道ファン推奨のコースがヒットしたのでした。

 組写真解説を引用します。「アンデルマットからゲッシェネンは一駅区間のみ3.71km、所要15分(平均時速15km未満!)のアプト式登山鉄道に乗車 | 悪名高き“悪魔の橋”(15:34)、想定外の急坂をゆっくりと下る間は、遊園地のアトラクションのごとくで、トンネル内や覆道でも撮影。難工事が継続(15:36)している峡谷を眺めつつ、列車は急勾配を下り、ゲッシェネンに近づく頃にゴッダルド峠鉄道トンネル(15km、開通1888年、事故死者177名)の入り口が見えた(15:43)」

 オリジナルは[スイス悠々(5)ポストバスで絶景峠を巡る]で、本HPにあります。

 ゲシェネン駅を発つと、即、全長15kmのゴッタルド鉄道トンネルに入り、ゴッタルド峠の下を南へと走り、最高地点1151mに至り、緩い下りになって、Airolo アイロロ駅(1142m)に到着します。

 観光急行は谷合を下り、2連続するループトンネルを2か所で通過し、やがて古都・州都 Bellinzona ベリンツォーナ(238m)に到着します。1882年に運用開始となったゴッタルド鉄道トンネルの最高地点から913m下ることになります。

 ベーストンネルが運用開始となってからは観光路線となったわけですが、​100年以上もの間、南はミラノ(イタリア)、ルガーノ、ロカルノと北はルツェルン、チューリヒやバーゼルを結ぶ南北の幹線であったわけで、スイスアルプスを克服して来た歴史を感じます。

ルガーノ駅からの光景(左)。高台にある駅から旧市街を結ぶケーブルカー(左中)。ケーブルカーで降りた至近地(・旧市街の点描(右中・右)

 天気予報で唯一降雨から逃れられるつもりで初探訪とした Lugano ルガーノでしたが、到着時は曇天・・・。駅前に出てみれば、想定外に山の街で、ルガーノ駅(標高344m)からルガーノ湖(同 271m)までの標高差は73mあり、“鉄道ファン”ゆえに、ケーブルカーで旧市街に降りることにしました。

 スイスにあってイタリア語圏の中心都市であるルガーノは看板はイタリア語主体で、旧市街の様子はイタリアの雰囲気がありあり・・・で、温暖な地でもあり花が多い。

 晴天で、視界が良ければ、標高912mのSan Salvatore サン・サルヴァトーレ山か、925m のMonteBrè ブレ山 925mにケーブルカーで登ること選択もありましたが、催行を中止しました。

 ルガーノ湖の湖畔を散策中に、晴れ間もありましたが、一方、小雨も・・・。

湖畔から眺めるルガーノ(左)。湖畔の散策路の雰囲気(中)。サン・サルヴァトーレ山と観光船(右上)、高台にある駅を結ぶ観光用のミニ列車はトラベルパス適用でなく、試乗せず(右中)。雰囲気の良い噴水(右下)

 晴天の日に、時間をかけての体験をと願うルガーノですが、何せベルナーオーバーラント地方を基地にしている身なので、かつ、宿泊の予定もないので、チョロッと体験するに留まるルガーノです。

 旧市街を適当に歩いていたら、市庁舎前・Piazza Riforma リフォルマ広場に出ました。市庁舎の対面にはレストランが・・・。フト、看板のメニューを見てシマッタ!で、相棒と一致して、チーズフォンジュを食べることになった次第でした。
 結局、ルガーノを初探訪し、もっとも長く時間を費やしたのがレストランで、写真を撮った時刻を確認すると約1時間40分居座っていました。

リフォルマ広場から眺めるルガーノ市庁舎(左)。市庁舎の対面にはレストラン(左中)。チーズフォンジュのメニューを見て注文し、ワインとビールでご満悦(中右)。ルガーノ駅に帰る途中に振り返って撮影:奥はブレ山(右)

 十二分に満足し、駅への復路・上りは、撮りながらゆっくり歩いての移動でした。

 ルガーノを発つ時刻を決めて出発したわけではなかったのですが、17:34発の InterCity に乗り、ベーストンネル通過も体験し、最後は、ベルリン始発インターラーケン・オスト駅行の InterCityExpress にも乗車し、シュピーツ駅至近のホテル自室に帰着したのは22時前。全日を堪能した次第でした。乗換時間を含め、往復で約9時間半の行程で、復路が4時間1分であったのに比べ、往路は1時間半以上を要していました。何れにせよ、この日は「“乗り鉄”ご苦労様」でした。

 えぇ、アナタとルガーノに行く際には、せめて1泊するなり、ホテル連泊の基地をルガーノからの至近地にするなり、考慮します。そして、晴天予報の日に、是非、出かけることにしましょう。ン?!はい。チーズフォンジュもネ!!

 地図は[ゴッタルドベーストンネル]ウィキペディアです。これに グーグル地図で得た路線を重ねた。

 ところで、Gotthard-Basistunnel ゴッタルドベーストンネル(ゴッタルド基底トンネル)は、ウィキペディアによれば「曲がりくねった山岳ルートを高速鉄道と重量貨物列車の通過に適した線形の路線にすることで、旅客列車は250km/hで走行が可能となり、チューリッヒ・ミラノ間は所要3.5時間から50分短縮される」とあり、さらに今回走行した今や旧線では「ゴッタルドトンネルまで峡谷沿いにループ線を含む険しい路線で登り、貨物列車は2・3両の機関車を連結しても最大2,000トンに制限されている。新トンネルが完成すれば最大4,000トンの貨物列車が走行可能となり、アルプス山脈が輸送の障壁とならなくなる」と知った。

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​Wassen ヴァッセンにおける特徴的な路線と標高を outdooractive の地図で確認した。

トンネル区間は不透明度50%の線で強調して示した。

(オリジナルは細い線で、トンネル区間は不透明度50%程度の破線)

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