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〔続 スイス悠々〕

(16)グリンジ湖から初探訪のグリュン湖へ

グリンジー湖は鏡面で、逆さマッターホルンを堪能(左)。同湖に降りて来た方向も美しい限り(中)。同湖を発ち、トレイルを歩きつつ眺めるマッターホルンの全容(右)

 2016年7月、妻を伴いZermattツェルマット1608mから岩盤を掘った地下ケーブルカーでSunneggaスネガ2288mに上がり、ここを起点に3湖巡りをしました。スネガからは定番的に小型ゴンドラでBlauherdブラウヘルド2571mへ。分かる範囲内で名峰などの解説をし、時間的にゆとりがあったので、大パノラマにしばし魅入った後、ガレ場のある山側のトレイルをStelliseeシュテリ湖2537mと歩き始めました。自身は2015年に界隈を歩いていますが、その際は時間的制約があり、自転車も走る通常のトレイルを足早に移動したのと比べ、山側のガレ場を伴う土道の選択は正解でした。即ち、前方のフィンデル氷河、足元の山野草を含めて、変化が大きい環境でしたから。なお、自転車も走る通常のトレイルとの高低差は最大20m程度ですが、前方の氷河の見え方など、景観の違いに驚いた次第でした。
 トレイルを歩き始めて間もなく、谷合の向こう・南側に綺麗な緑色の湖が見え、彼女に尋ねられ、「グリュン湖」と答えましたが、高低差等からトレッキングコースに含めていませんでした。
 妻と親友の二人の女性を伴った2019年7月は、そのGrünseeグリュン湖の初探訪を含めた4湖巡りとしました。2015年、2016年とパターンを変えることで、毎回、躍動感・新鮮さを覚えます。

同名氷河が溶け、白濁したフィンデルバッハ(左)。せせらぎとマッターホルン(中)。緑の中の湧水(右)

 スネガでは、最初にLeiseeライ湖2232mまで散策路を下りました。逆さマッターホルンを眺めた後同湖からの復路はLeisee-Shuttleなる無料の斜行エレベーターで、景色を眺めつつ、ゴンドラ乗り場へ。冒頭に記したシュテリ湖を訪れた後、森林限界地の窪地にあり、風が吹き込みにくいことで逆さマッターホルンの名所となっているGrindjiseeグリンジー湖2324m(冒頭組写真)でくつろぎました。
 グリンジー湖畔で休憩を兼ね、鏡面の逆さマッターホルンを堪能した後、自身も初めてのトレイルを歩き始めました。内心、彼女たちがへばらないかと気にしつつも、歩くしか方法はありません。
 初めて歩くグリュン湖までの景観は、渓流との出会いが多く、幸いリラックスできました。歩いては、大パノラマや足元の“美しい”に見惚れつつで、愛用している komoot(www.komoot.de/)の Route Planner に示される所要時間の2倍以上を要する行程です。同地図で、この日の行程を確認しましょう。

 我々にはロングトレイルとなる基点Ⓐはゴンドラで上がったブラウヘルトで、目的地のリッフェルアルプはⒷです。経由したい場所へルートを摘まんで自由にコースを改変できます。今回は、シュテリ湖とグリンジー湖を経由地として、全体行程を決めました。上り70m、下り400m、全長7.6kmで、足の長いガイジンさんが普通に歩く際に、所要2時間15分と出ています。ルートの高低差も示され、これも含めた図を作成しました。自由旅行の際には、komootは時間設計を含めて、実に有用です。
 なお、
komoot-Route Planner はわが国を歩く際にも有用です。お試しを!

湧水が泉を作っていた(左)。マッターホルンの頂上付近を眺めつつのグリュン湖へのトレイル(左中)。緑の森から湧水がせせらぎとなる様(右中)。落差のある渓流だ!グリュン湖に到着したようです(右)

 ブラウヘルトからシュテリ湖へのトレイルから名の通り緑色のグリュン湖を遠望し、眼下には青白く混濁したMosjeseeモシェ湖2140mが目に留まります。界隈の湖は透明ですが、モシェ湖のみが白濁し、かつ、流入河川が地図上見当たらないため、2015年の初探訪時は同湖まで降りました。結果、氷河が溶け、地下水脈からの流入と知りました。同湖経由は高低差が大きくなるので、今回は省略しました。
 歩く際には勘を活かします。環境と落差のある渓流を見て、グリュン湖に着いたと確信しました。

落差のある渓流が目前に(左)。足元に留意しつつ渓流を通過(中)。東側からグリュン湖に到着(右)

 グリュン湖には流入河川はありません。山の斜面からの湧水が窪地に溜まった地勢です。湖面の色が名称になったグリュン湖のGrünは英語でGreen、即ち、緑湖です。陽光の射す時間帯や眺める位置によって、色合いが変化する様に、しばし、見惚れました。見惚れたもう一つの光景が水浴している人たち・・・。雪解けの湧水なので、水温は冷たい!

 最初に訪れた、地下ケーブルであっさりと到着する家族連れで賑わうスネガはパラダイスの形容もあり、至近のライ湖では多くの人たちが湖畔で肌をさらして日光浴をし、また、泳いでいるのが常態です。

 各々、山上湖で泳ぐ文化は日本にはないはずです。

緑が印象的なグリュン湖は英語ではGreen Lake(左・中)。マッターホルンが顔を見せる湖畔で休憩(右)

 グリュン湖について、スイス政府観光局など、観光用のサイトで調べますが、特筆するほどの情報が得られません。マッターホルンの頂上付近が見える程度の環境で、公共交通機関からの距離があるためでしょう。この界隈では、スネガ至近のライ湖は別として、ブラウヘルトにゴンドラで上がり、往復で約1時間、高低差50mのシュテリ湖には、2016年7月探訪時は、韓国・中国の若者も訪れていました。
 マッターホルンのポスターや絵葉書の名所グリンジー湖は、距離があるため、人は減ります。さらに、グリュン湖に立ち寄る人は少ない状況でした。なお、モシェ湖はさらに少なく、稀です。
 湖畔のの土手で、足休めを兼ね、飲水し、パン、チーズ、バナナを摂り、くつろいだ後、リッフェルアルプにむけて再出発です。

 初めての地であり、トレイルは数多くあるので、確認をしつつ、「ゆっくりおいでよ!」と声掛けもし、トレイルを間違えたら引き返すつもりで、小生が先導します。勿論、景観を眺め、撮りつつ・・・。

色彩が変化するグリュン湖畔をゆっくり西へ(左・中)。初探訪地なので、トレイルを確認しつつ誘導(右)

 間もなく、レストランが見えてきました。参照した地図 komoot にはRestaurant Grünsee とあり、グリュン湖畔から西へ約500m、下り30mで、崖の上の形状の地に建ち、マッターホルンが見え易い地にありました。ZE SEEWJINU MOUNTAIN LODGEのレストランで、“密”と評せられる人で賑わい、テラス席で、ガイジンさんに願い出て“相席”とし、間もなく3人で長机を囲みました。水分補給、トイレの後、念のためにレストランの彼女に「Riffelalp」へのトレイルを尋ねました。尋ねて正解でした。つまり、散発的に歩く人たちは上り330mのRiffelbergに向かっており、小生の勘で選ぼうとしたのは、440m下りのFindelbachでしたから・・・。目的地は下り80m、上り30mのリッフェルアルプ。実は、両者の中間に位置する目的地へのトレイルは、ロッジから下の森林に進入口があり、コースが全く見えていなかったのです。教えられたとおりに歩いたら、森林の入り口に各方向へのトレイルを示す看板があり、安堵した次第でした。なお、「教えられた」とは言え、ドイツ語は論外、英語も幼児並の小生ゆえ、ジェスチャー・目線を活かしての理解でした。内心、またもや勘を活かしての歩き・・・であり、嘆かわしい限りです。ゆえに、地図等での事前調査は万全に!
 なお、同ロッジのHPでアクセスには英語が併記されており、「from Sunnegga over the route of the 5 lake-hike about 1 hour」とあります。5湖を巡って約1時間とは驚きで、競歩並に思えます。つまり、初探訪地の場合は、情報自体の分析・評価が欠かせません。再々ですが、信頼しているkomoot は所要時間の2倍程度の確保が無難です。よって、今回はkomoot表示の02:17の2倍以上、5時間程度のを前提としました。

レストランを発ち、渓流、石路、林間など多様なトレイルを堪能(左から3点)。Blick auf Zermattのビューポイントの名称通りにツェルマットの村を一望(右中)。散策の終着はリッフェルアルプ駅(右)

 眼下に若者たちがキャンプする光景を眺め、ツェルマットの村を見下ろす絶景ポイントBlick auf Zermatt(トレイル地図 Z)を通過後、崖上のトレイルに入って間もなく、ゴルナーグラート鉄道のリッフェルアルプ駅と確信した雰囲気が見え、「やっと着いた」の感覚を抱き、安堵しました。ブラウヘルトを発ち5時間半が経過していたのです。
 駅でトラベルパスを提示し、麓のツェルマットへ。幸い、運転台直後の席があり、鉄道ファンに陥った次第でした。

 この日は、8時前に連泊ホテルの玄関を出て、シュピーツ 08:05発、ミラノ中央駅行のEuroCityに乗車し、15分の乗車で、最初に停車するVispウィスプで下車し、氷河急行も走る登山鉄道のRegio各駅停車でツェルマット09:51着。同駅前からマッターホルンを眺める行程開始でした。
 復路は、ツェルマット発17:37のRegioに乗り、ウィスプでInterCityに乗り換えて、ホテルには19時半頃の帰着で、全11時間の行程でした。

 夕食はホテルのテラス席で、トゥーン湖と対岸の山々、夕日に映えるトゥーンの街、桟橋を出入りする観光船、アイガーを遠望する環境に浸りつつで、堪能しました。

※ この日の全行程概要図を呈示しました。

Mapcarta.JPG

 全行程概要図の右上はジュネーブ、レマン湖、ローザンヌ、ベルン、ルツェルン、ルガーノなどを含む広域地図で、スケールは30kmです。
 左は連泊地のシュピーツからユーロシティに乗り、ノンストップで、長大トンネルを抜け、ウィスプで下車。乗り換えて、氷河急行も走る列車でツェルマットへ各駅停車で移動した路線です。
 右下は、ツェルマットを起点に、岩盤中を上るケーブルカーでスネガに上がり、雄大な景観を堪能する小型ゴンドラでブラウヘルトに移動。当地からのトレイルを青線で示しました。リッフェルアルプ駅まで歩いて、ゴルナーグラート鉄道で麓駅に降りました。
 トラベルパスはシュピーツからツェルマット間の往復は追加料金なしで、それ以外は駅窓口での半額購入でした。

※ 本稿は鳥取県東部医師会報 随筆欄に掲載・連載(レイアウトは異なります)

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