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〔続 スイス悠々〕

(8)アイガーを眺めつつフィルストへ 

バスは村の幹線道路を東へ。正面に“お天気山”Wetterhorn(左)。バス専用道は一車線(右)

 2018年7月のスイスは4年連続で、ヒロさんは3回目の同伴でした。が、彼の都合で、小生に2日遅れで現地集合となり、当初は単独行。エミレーツ航空を利用し、ドバイで乗り換え、ジュネーブへ。初めて旧市街の散策を楽しみました。翌日、朝食後速やかに発ち、列車の最短コースで、三度目の基地としたGrindelwaldグリンデルワルトへ移動。駅至近にあり、家族経営ゆえ☆☆ですが、バルコニーのある南側の自室からはアイガー北壁などを眺めることが出来る、小生評価での最良ホテルに7連泊です。
 馴染みのオーナーに「到着したら、荷物を預け、即出発し、バスでGrosse Scheideggグロッセ・シャイデックに上がる。Firstフィルストへと歩き、さらに、天候等を勘案してBachalpseeバッハアルプ湖まで往復し、最終時間帯のゴンドラで降りる」と、出国前にメール送信し、了解を得ていました。
 NHK BS-Premiumで、グロッセ・シャイデックからフィルストへのトレイルを、現地の山岳ガイドが解説しつつ歩く番組を録画しました。途中、フィルストから歩いてきた高齢女性は「スイスが好きで、毎年来て歩いているのよ」と。笑顔で話していた82歳と言う彼女はミュンヘン在住とのことで、近接地ゆえ、羨ましかった。日本は毎年となれば遠過ぎる・・・とは言え、自身の念願が強いこと、種々の条件に恵まれて、2020年初夏もホテル、航空券を購入済で、6年連続のトラベルパスを活用したスイス行が実現します。いつまで続くことやら、また、どんな同伴者を伴うことになるのか・・・アナタも?!
 スイス国内で訪れていない地は、勿論多々ありますが、気に入りの場所は定番的に訪れます。ホテル連泊の基地はグリンデルワルトとSpiezシュピーツで固定。Berner Oberlandベルナーオーバーラント地方にあって、アイガーの裾野に位置する前者と、交通の要所にありトゥーン湖畔にある後者。選択するホテルは、各々駅至近地であり、無料朝食が充実しており、部屋で無料Wi-Fiが使えます。
 この日の天気予報は雲が湧き、降水量0~3mmの降雨に見舞われる可能性が高いとあって、若干ためらいましたが5~6時間をかけての催行を決定。結果は大正解で、初めてのトレイルは期待以上でした。
 インターラーケンを発って間もなく、列車の先頭方向にユングフラウとシルバーホルンが見えて安堵。グリンデルワルトに近づくと、アイガーの頂上付近に雲があるが、天気予報からすれば及第点でした。馴染みの終着駅に到着後、バス出発まで8分。下車後早足で移動し、ホテルに着き、挨拶後、荷物を預け、手筈通りに出発。駅横に並ぶバスを確認し、案内所兼売店でトラベルパスを提示し、半額で乗車券を手にして乗車。幸い、先頭席に恵まれました。1時間に1本の運行ですが、願いが叶いました。
 ダイヤ通りに発車して間もなく、東側・バスの正面に“お天気山”ことWetterhornの頂上が見えました。頂上が雲で覆われない限り、好天に恵まれると言うグリンデルワルト村のランドマーク的な存在です。バスは、一般車両が走らない、鉄道なら単線相当の専用道に入ります。初体験の路線です。
 バスはくねくねと上ります。黄色塗装の下りのバスが路肩で待避していました。正面にヴェッターホルン北側の断崖が迫ってきました。カーブを曲がる際に、後方を見ると、後続のバスが・・・。2台運行と認めました。同時にアイガーも視認。このアングル、即ち、東側からの景観は初体験で、アイガーの北壁がナイフのように見えます。が、残念ながら、この後は、頂上を雲が隠している時間が続きました。
 とは言え、アイガーとメンヒとの間の氷河など、雄大・特異な景観に目を留めつつの車窓でした。
 バス専用道ですが、自転車は例外です。ここでも自転車で峠をめざす若者に出会いました。

バス車窓から眺める“お天気山”の断崖(左)。バスは2台運行だった。自転車はここでも。アイガー[E]はグリンデルワルトから眺める角度(楕円内)と異なる鋭い表情を呈していた。[S]はシュレックホルンの北端(右)

 バスでめざす峠Grosse Scheideggグロッセ・シャイデックはJungfraubahn ユングフラウ鉄道の基地であるKleine Scheideggクライネ・シャイデックと対比的な地名です。馬の鞍を意味するScheideggにGrosse・Kleineの大・小が付記される名称ですが、位置的には関連性のない“鞍”です。この日訪れた鞍(峠)を通過するとシャーロック・ホームズの像や記念館があるMeiringenマイリンゲンに降りて行きます。途中、ホームズ終焉の地とされるライヘンバッハの滝界隈を通過します。(未体験です。)
 鞍の南には“お天気山”の大岩壁があり、北に向かうのが初体験のトレイルで、グリンデルワルト村を反時計回りに弧状に巻くように歩き、同村中心部の北に位置するFirstフィルストを結びます。

初体験のトレイルから振り返って“お天気山”の岩壁を撮影。足元には高山植物が多く、しゃがんで撮影(左)。トレイル界隈は放牧地でレッドホルスタイン種の牛さんと近接しながらの散策。各所で高山植物を撮影(右)

 初めてのトレイルであり、当初はサッサと歩くつもりでしたが、早いバスに何とか乗れたことで1時間のゆとりが生まれ、結果、緩速で歩き、再三立ち止まって景観に浸り、しゃがみこんでは高山植物を撮り続けていました。トレイルを歩いている人はまばらでしたが、白人のカップルに出会い、追い越され、子ども連れのミニ集団との行き交いがあり、珍しく日本人の若い男性との遭遇も・・・。

グリンデルワルト村方向に流れる渓流をいくつも越える整備されたトレイルに親しみつつの散策

 歩き始めの前半は、重い雲が近づき、風が吹き、体感気温が下がり、ときに雨粒にも見舞われました。ヤッケを羽織ると、今度は、陽光が射し、汗ばむのを感じ、ヤッケを脱ぐなど、妙に忙しい(?)行程で、後半では長袖シャツも脱ぐ有様でした。さらに、陽光が射しているのに弱いシャワー的降雨があり、風がなかったので、思い出作りで折り畳み傘を使うなど、スイスの山中を歩いた中で、最も、目まぐるしい天気の変化を、内心苦笑いしつつ、初体験しました。悪天候の類ではなく、直ぐに乾きますし、土道も濡れるには至りません。素晴らしい景観に恵まれたことに感謝しつつの散策でした。
 目にした高山植物を記念に撮りつつ、本稿でも組写真に入れてのご紹介です。花々の名称は・・・。

後方は“お天気山”岩壁の裾野。下に見えるトレイルに折れないで、山裾の上に直進するのが推奨のコース(左)。アイガー[E]の頂上に雲がかかり続けていたが、晴れてきました。歩き易い土道のトレイルです(右)

 レッドホルスタイン種の乳牛が雄大な放牧地でカウベルを鳴らしながら、のんびりとした感じで牧草を食べ続けていました。自身ものんびりとした歩みです。
 湾曲を繰り返すトレイルですが、気づくとほぼ正面にアイガーが見え、頂上が顔を見せていました。この辺りは、メンヒが後方に隠れ、ユングフラウも遠方に位置し、必然的にアイガーの威容が目立ちます。岩盤の裾野を下るとグリンデルワルト村になります。グリンデルワルトはアイガーの基地であることを象徴する景観と言えましょう。
 過去に歩いたトレイルの中で、最も多くの渓流に遭遇しました。トレイルが山の中腹を縫っているためです。陽光に煌めく渓流の水と高山植物のコラボ、かつ、雄大な環境は日本国内では体感できません。
 心地良い晴れの天候が安定した路程の後半は、内心、小躍りするがごとくに歩き続けました。

渓流との遭遇は嬉しい(左)。珍しく階段状に整備されたトレイル(左中)。陽光を受けて水面が輝き、高山植物も美しい。しばしば追い越されます(右中)。渓流とコラボする快晴の“お天気山”ヴェッターホルン[W] (右)

 階段状に整備されたトレイル。スイスでのハイキングでは初体験かな・・・。この辺りは、既に、行程の終盤で、フィルストが近づきます。

 

 地図を確認しましょう。参照したのはkomootで、所要約2時間。自身の実績は約2時間40分で、6km弱、高低差約180mを歩きました。

 

かつ、outdooractive MAPSのOn footも参照しましょう。

:基点グロッセ・シャイデック、終点フィルスト、青線バス路線

初出艇は、2010/7/16()太平洋高気圧が張り出して、南風が吹いていたので、湖山池南東端(現 湖山池公園南端)からの出艇でした。海に出したのは 7/19(海の日)の白兎海岸! 残念ながら、白兎海岸での出艇は10季目の2019年まで、その後出艇機会なし! COVID-19 pandemic 禍で、県外に出かけることの自粛要請があり、♪兵芸演奏会・オペラ等、全てが中止・延期となり、ウィーン・スイスの自主研修も催行中止とした現状!ゆえに、2020年夏季は、白兎海岸での2回目の出艇も虎視眈々と・・・ 2020/5/13 当直の合間に

ヴェッターホルン、 グリンデルワルト、 アイガー、 メンリッヘン​、 S シュレックホルン

アナタも是非、固定された日程のツアーとは異なり、トラベルパスを活用し、天候に合わせた散策等をとオススメします。

※ 本稿は鳥取県東部医師会報 随筆欄に掲載・連載(レイアウトは異なります)

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